「キャンプバー・ランタン」のマスター・みずのっちは、筋肉ラブのちょっと変態オトコである。
ニカニカ笑いながら筋トレをし、仕事のあとにヘラヘラ笑いながら町内をジョギングしていたりする。
普通筋トレをしている人はタンパク質をメインにした食事をとるので、ごはんや麺類はなるべく敬遠するものなのだが、彼は1日1回はラーメンを食べないと気がすまないオトコであり、また1回に2杯も3杯も食べてしまうおバカさんであった。
そんなみずのっちが、サルシカの新店舗のマスターをやるにあたり、サルシカ隊長のわたくしはひとつ、おごそかに命令をくだした。
「お店をオープンさせるその日まで、お店で出さないものを食べるべからず!
これからのきみの食事は、修行のひとつなのだ!」
その時、お店ではラーメンを出す予定は微塵もなかった。
当然ラーメンも禁止である。
「え、あ、え、あ・・・」
みずのっちはあからさまにうろたえた。
が、ここぞ人生勝負のとき、
「わかりました! ラーメンやめます!」
わたしは店で出さないものを食うなと言ったのに、筋肉ラーメン男はそれがイコール「ラーメン禁止」だと早合点して、涙ながらに自分に言い聞かせるのである。
ま、ランタンのマスターはこういうオトコである(笑)。
さて。
メイン工事は終了したが、小さな工事はいくつか続いていて、商店街の通りに大きなランタンが灯る。
これが看板代わり。
観音さんからもかろうじて見える。
これが点いていたら営業中っていう合図なのだ。
営業前なのにランタンには毎日たくさんのお客さんがやってきてくれた。
まずは、尺八奏者の新田みかんさんと奥さん。
粒餡子ちゃんとお母さんのきみちゃん。
大門商店街理事長の近澤さん。
つまり大家さん。
幸せ太り中のたむけん。
これまた尺八奏者の昭山さん。
尺八が吹ける人が身近にふたりもいるって不思議なことだ(笑)。
マスターみずのっちのお母さんもチョコレートの差し入れをもって登場!!
写真のみなが上着を脱いでいないのは、実はまだ店にエアコンが入っていないから。
この小さな石油ストーブひとつで日々のメニュー開発に勤しんでいるのだ。
店はとっちも寒いのだ。
そして・・・・
ほぼほぼメニューの全体像が決まった夜・・・・
その日も試食会が行われていた。
最後のメニュー開発は、ラーメン!!!
そうなのだ!!
ラーメンをしめにつくっちゃうのだ!!!
しかもチキンラーメンだぞ(笑)
企画考案は中谷の父ちゃんとサルシカ隊長のわたくし。
アドバイザーにポポくんラーメンの店長ポポくん(笑)。
ごらんあれ!!
本気のチキンラーメン!!!
で、マスターみずのっち、試食。
1カ月半振りのラーメンである。
ハフハフしながらすでに涙ぐんでいるのだ。
そして一気にすすり込み、むせ返り咳き込むのだ。
「うまい!
うますぎる!
泣けてくるほどうまい!!」
どう考えてもいまのコヤツに冷製な判断ができると思わないので、中谷の父ちゃんと隊長のわたくしも食べてみる。
むふふ。
笑えてくるほどうまい。
が、本気のチキンラーメンにするにはもうひと手間かけなければ。
完成品は、ぜひお店でお試しくださいませ。
最後のひと手間について父ちゃんとわたくしが相談をはじめると、マスターみずのっちは残っていたラーメンを奪い取るようにして食べる。
かわいそうにのう、よほどラーメンに飢えていたんじゃのう。
で、続けてひと手間かけたバージョンのチキンラーメンをみずのっちにつくってもらう。
中谷の父ちゃんとわたくしはひとすすりのみして、あとはみずのっちに渡す。
「次!!」
このあと、みずのっちはしばらくラーメンをみたなく状況に追い込まれたのであった(笑)。